「誰に」「どうやって」承継されるのか?
ご家族が不幸にも亡くなると、相続が始まり、被相続人(亡くなった方)の財産がそのまま相続人に引き継がれます。相続される財産は、被相続人のプラスの財産(不動産・自動車・株式・預金など)だけではなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も含まれます。相続が開始したら、まずは被相続人のプラス・マイナスの財産全てを調査しましょう。その他ご遺族がしなければならない手続きは、細かい手続き等を全部含めると60種類以上とも言われています。
また、相続の話をするのは一般的に四十九日が過ぎてからと言われますが、相続の手続きは発生してから3か月以内にしなければならないものもあり、手続きしようとしたら期限が切れていたというケースもあります。なるべく早めに準備をしていくことをお勧めいたします。
当事務所では、相続により遺産を引き継ぐための遺産分割協議書・相続放棄申述書の作成や、遺産に不動産(土地・建物)がある場合は、所有者の名義を相続人に変更するため、法務局へ登記申請をいたします。
- 法改正により2024年より相続登記が義務化
- 今まで相続登記に期限はありませんでしたが、法改正により2024年より相続登記が義務化されます。これまで相続登記に義務はありませんでしたが、相続登記が義務化されてないことにより相続登記をせず長期間放置されて「所有者が判明しない」または「判明しても所有者に連絡がつかない」土地や建物が年々増加してしまいました。相続登記が義務化されると相続不動産の取得を知ってから3年以内に相続登記することが義務化されることになり、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料(罰金)が科されることが盛り込まれています。※2022年1月時点の情報です。
2024年に相続登記の義務化が始まる予定ですが、注意をしたいのは義務化がはじまる前に相続が開始した方も2024年の相続登記義務化の対象になりますので、現在すでに相続登記を放置されている方も早めに相続登記を行いましょう。相続登記に必要な戸籍収集をする際に、戸籍を取得する場所が多いと1~2ヶ月かかることがあります。早めに準備されることをオススメします。
- 相続登記せずそのまま放置すると…
- 相続関係が複雑化し、手続きが大変になります
相続登記を放置している間に、さらに相続人にご不幸があった場合には、相続人の数が増えて相続関係が複雑になってしまいます。例えば、不動産を相続人一人の単独所有とする場合は、相続人全員で遺産分割協議をして、相続人全員の了承を得なければなりません。この遺産分割協議は人数が増えるほど、話がまとまりにくく大変な手続きになりやすいです。
不動産の売却が困難になります。
法律上相続権のある方が複数ある場合で、話し合いなどで誰がその不動産の所有者になるのかまだ正式に決まっていない間は、その全員でその不動産を共有していることになりますから、その間は全員が売却に同意しなければ、その不動産を売却することは出来ません。そして、いざというときに、全員で足並みを揃えて急ぎ売却を進めることは極めて困難ですから、売却などの必要が起こる前に、余裕をもって相続登記を済ませておくことが大切です。
他の相続人の債権者も関与してくる可能性があります。
相続登記を放置していると、他の相続人の債権者が法定どおりの相続登記をし、差押さえの登記をしてくるケースがあります。このような場合には、その債権者に差押さえ登記を抹消するよう請求しなければなりません。当事者だけでなく第三者も関与してくる可能性があるので注意が必要です。
相続登記のポイント
土地や建物などの不動産を相続される場合は、登記名義を変更する相続登記をする必要があります。相続登記に期限はありませんが、相続登記せずそのまま放置していると、思いがけないことでトラブルとなることがあります。また手続きの期間としても、相続登記を行うには戸籍簿の収集する際に、戸籍を取得する場所が多かったりすると1~2ヶ月かかることがあります。後回しにせず、手続きをしっかり行いましょう。
- 相続関係が複雑になりがちです相続登記を放置している間に、身内にご不幸があると、相続人の数が増えて相続関係が複雑になります。新たに相続人となった人の介入により話し合いがこじれてしまったという事例は非常に多くの方が経験されていますので、ご注意下さい。
- 遺言書があっても安心できない!?遺言書があるから相続登記しなくても大丈夫!そんなことはありません。知らない間に、他の相続人が遺言書と違う 内容の相続登記をしていた!ということもあるのです。
相続放棄のポイント
当事務所では、負債などのマイナスの遺産を相続された方に、家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を作成し、プラスの遺産もマイナスの遺産も相続しない相続放棄の手続きをお手伝いいたします。遺産相続は、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も相続人に引き継がれてしまうため、マイナスの財産のほうが多い場合などは、家庭裁判所に相続を放棄する旨を申述して、相続を放棄することができます。
- 相続放棄の申述期間は3ヵ月以内相続放棄の申述は、「相続の始まったことを知った時」から3ヵ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があるので注意しましょう(民法第915条)。「相続の始まったことを知った時」とは、「ご家族が亡くなったことを知った時」が最も多いケースですが、その他「マイナスの財産があることを知った時」や「他の相続人が相続放棄をしたことで、自分が相続人になったことを知った時」などがあります。
- 負債から免れるためには、相続放棄が必要です!遺産分割協議(相続人間の話し合い)で、特定の相続人が負債(借金・保証債務)を相続しないことを取り決めたとしても、債権者(貸主など)に対しては、負債を相続していないことを主張できません。負債から免れるためには、相続放棄が必要です。遺産分割で一切のプラスの財産を相続しなかった方も、「相続を放棄した」という認識でいることが少なくありませんが、家庭裁判所を通した相続放棄をしない限り、負債を相続したものとして扱われます。
遺産分割調停のポイント
- 相続人どうしが顔を合わさずに話し合いが進む遺産分割調停は、原則として当事者が顔を合わさずに話し合いを進めることができます。遺産分割調停は、申立人控室、相手方控室で各自待機し、それぞれ交互に調停室に呼ばれ、調停委員が話を聞くといった形で手続は進みます。
- 自由に自分の意見を主張することができる相手の顔色を見ながら説明することはなく、自由に自分の意見を主張することができるのです。遺産分割調停は、裁判所にて調停委員の意見を聞きながら話を進 めていくため、当事者だけで話合いをするのに比べて、協議がまとまる可能性は飛躍的に上がります。もし遺産分割調停でも話がまとまらない場合には、さらに 審判手続きにて遺産分割の内容を決めることもできます。
相続人調査
相続人は誰なのか?を、戸籍収集をして相続人の調査をします。
戸籍は銀行や不動産等の手続きを進める際にも必要になります。亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までのすべての場所の全ての戸籍、そして相続人の現在の戸籍(戸籍謄本)が必要となります。(戸籍のあった場所がたくさんあるとそれだけ戸籍を集める必要があり、中には10通以上になる場合もあります。)
そして、相続人がだれであるかを戸籍で確定をさせます。※相続人調査を承る場合は、登記や裁判手続き(相続放棄等)、遺産分割協議をすることを前提とした場合に限ります。